kurasawaminoru-kinenkan

倉澤  實  記念館

倉 澤 實 氏


【島根大学名誉教授】栃木県日光市生まれ(1934‐2011)

1960 東京芸術大学美術学部彫刻科卒業

1962‐64 東京芸術大学美術学部副手

1965‐66 メキシコ国立エスメラルダ美術学校入学

1966‐71 メキシコ国立文化博物館勤務

1979‐80 文部省在外研究員(スペイン国立サンヘルナンド美術大学)

1975‐98 島根大学教育学部勤務

鷺舞モニュメント

倉澤實 記念館

島根県浜田市西村町

 『彫刻制作の周辺』 

  人為による所産の一切は、その地の風土と密接な関わりがあるという認識に立って、大学
専攻科終了後、日本と異なった風土を求め亜熱帯の国の一つであるメキシコに渡った。
 後に、メキシコ国立文化博物館に勤務することになったこともあって、七年間の滞在となった。そこでの生活体験は、私の原体験の上に新たにもう一つの原体験を重ねたと言える程、造形を考える上で核となる体験になったようである。

 イギリスの彫刻家ヘンリー・ムーア(1898~1986)の作品に影響を与えた国メキシコは、予想していたとおり日本とは大きく異なる風土と文化に満ちていた。それらとの出会いの中で触れるもの総べてが、風土と文化の因果関係を究明するには至らなかったまでも、異なる風土に向かって開いた私の心身に鮮明にとびこみ、日本から持ち込んだ概念が次々に変容していくのを感じながら、外部を素直に見つめている自分がそこにあった。そんな自分の周辺に展開する光景は、亜熱帯の明るい陽光が地上の事物を鮮明に照らし出し、照らし出されたもの達は各々の実体をさらし個性を固持しながら、他との調和を保ち続ける美的な空間である。
 同じ空間に居合わせる自分の内部に自然におこる同化現象のはたらきは、私の中の原体験と対立しながら新たな視点をつくり出し、それまで死角にあった事物の存在に気づかせながら、その後の制作活動の核になって貴重な影響を与え続けている。
 そもそも彫刻の表現の場は宇宙に広がっている無限の空間であり、その空間に展開する彫刻の主題もまた無限である。したがって、小さな概念に囚われず、地球規模で自然と人間を見つめながら、自己の内部に生じる主題には素直に制作を試みる。それが私の求める制作態度である。また、その結果制作した作品が異文化に触れた当初のように新鮮な存在で有り続けることを望んでいる。

(倉澤 實作品集【1998】より)


ご 挨 拶

これまで長年に亘り親しく交流のありました故倉澤 實先生の偉業を称えるとともにご功績を広く皆様にご紹介するために、倉澤 實記念館を開設しました。


一般財団法人 いわみ文化振興会 代表理事 小川憲治


倉澤實記念館賞

第2回 コンクール入賞作品展示

令和6年1月7日~令和6年3月4日